6/29/2012

ベルリンの美術館


ベルリンは現代美術を扱うギャラリーだけでなく、美術館や博物館も豊富。
とりわけ、博物館島と呼ばれるシュプレー河の中州には5つの館が建ち並んでいます。

旧国立美術館には、フリードリヒに代表されるドイツロマン主義絵画をはじめ、
マネやルノワールらフランス近代絵画のコレクションも。




吹き抜けの丸天井がとても美しいです。


7年前にここで見たアドルフ・メンゼルの室内を描いた1枚の小さな絵を
もう一度見たいと思い、訪れたのですが残念ながら工事中....。

これだけは心残りに思っていたのですが、旅から帰ってしばらくして、
非常勤時代にアルバイトをお願いしていた美大の女の子から突然メールが。
私が印象深い絵画作品としてこの絵のことを語ったことがあるようで、
それを覚えてくれていた彼女が、今年の夏ベルリンに旅行して、
メンゼルのあの絵を見ましたと報告をしてくれたのです。

卒業制作展で見た彼女の絵も、日常の空間を細やかに描写したものでした。

自分がちゃんと語っていたことと、
彼女がそれを記憶にとめて見つけてくれたことがとても嬉しかったです。





博物館島の中で一番人気はおそらくペルガモン博物館。
館内に再構築された巨大な古代遺跡の数々は圧巻です。



団体ツアー客が多く、どちらを向いても人、人、人....
写真もなんだか群衆を撮っているような感じです。



紀元前560年頃に作られたというバビロニアのイシュタール門。
青色の煉瓦がとても綺麗でした。



博物館島の一番端に聳えるのがボーデ博物館。
中世〜ルネサンスの絵画、彫刻、工芸品を展示しています。

エントランスには巨大な騎馬像。



こちらの博物館、何と1997年から2006年まで改修工事で閉館していたようで、
展示室はさすが9年かけただけのことはあるというくらい、
すみずみまで洗練されていました。



この天使の像が一番のお気に入りです。





ランチをして、午後まず向かったのはマルティン・グロピウスバウ美術館です。
バウハウスの創始者ヴァルター・グロピウスが設計した建物。



アメリカの写真家ダイアン・アーバスの展覧会を開催中でした。
パリのジュ・ド・ポ―ムでの展示を見逃していたのでちょうど良かった。





そして歩いてノイエ・ナショナル・ギャラリーへ。
ミース・ファン・デル・ローエの建築、やはりかっこいいですね。
写真がうまく撮れませんでした。




絵画の展示方法も独特...


ジャコメッティとヘンリー・ムーア。対照的な二人。



この壁も作品なんです。拡大すると...



カレル・アペルのこの絵がすごかった。
抽象画なんですけど、絵を見る人それぞれに何かを喚起してくるような
フォルムのせめぎ合いがありました。
こんな絵について、どんな言葉が語れるんだろう...





そして最後はハンブルク駅現代美術館へ。

ベルリンのはずれにあるこの美術館は、もともとはハンブルク行きの列車が
発着するターミナルだったそう。
19世紀末には駅としての役目を終え、1996年に美術館として生まれ変わりました。


閉館まで1時間というところで辿り着いたのですが、甘かった...。
ものすごく広い敷地と複雑な展示空間、3時間は必要でした。

ボイスとダン・フレヴィンのコラボレーション。




そして、それだけでも充分広い本館から、
地下鉄のような通路を抜けて別館に...


数百メートルはあろうかという別館は、早足で往復するだけで終わってしまいました。




ベルリンは美術好きには夢の島のようなところ。
2、3泊の旅行では全然足りないので、いつか1ヶ月くらい住んでみたいな。



6/28/2012

ベルリン


ミュンヘンの次は、ビエンナーレを開催中のベルリンへ。
この街に来るのは2回目です。

ミッテ地区にホテルを取り、初日は歩いてマリエン教会と森鷗外記念館へ。
マリエン教会は小説『舞姫』で、豊大郎と踊り子エリスが出会う場所。


周囲の景観はかつての面影もないようですが、教会だけは今も変わらず。
すぐ近くにはベルリン大聖堂。



森鷗外記念館は、かつて鷗外が住んでいたアパルトマンの一室にあります。
扉を開けて一歩中に入ると、なかなか重厚な雰囲気。


記念館には日本人のスタッフの方がいらして、丁寧に説明してくれました。
豊富な資料からは、留学中の鷗外の勤勉ぶりが伺われます。
医療の勉強だけではなく、文学作品の翻訳に携わったり、
劇場にも足繁く通っていたんですね。



その後日本とチューリヒからやって来た友人たちと合流して、
ベルリン・ビエンナーレ、ギャラリー巡りに繰り出しました。

こちらはミッテ地区のアウグスト通りにある、
かつてユダヤ人の女子学校だった建物を利用したギャラリーやレストランの複合施設。
2012年の3月にオープンしたばかり。

緑色のタイルが素敵。


EIGEN+ArtMichael Fuchs GalleryCamera Workといった
名だたるギャラリーが入っています。



リアルすぎる監視員のおじさんのフィギュア。




続いて、完全予約制の現代アート美術館Sammlung Borosへ。
第2次世界大戦中に建設されたブンカ(防空要塞)を利用し、
広告代理店を経営するコレクター、クリスティアン・ボロス氏が、
自身のコレクションを展示するための美術館を2008年にオープンさせました。
しかも常設展ではなく、数ヶ月ごとに企画展として展示作品を入れ替えているそう。

オラファー・エリアソンはじめ、クリス・マーティン、サラ・ルーカスら
現代アーティストらの作品とともに、歴史の刻まれた建物を体験することができます。



その後は ぶらぶらジェラートを食べたりウィンドウ・ショッピングをしながら、
かつての東ベルリンだった地区の方へ。
1989年にベルリンの壁が崩壊してから20年あまりが経ちますが、
建造物やお店はまだまだ当時の雰囲気を色濃く残しています。

バーでビールと軽いおつまみを頼むと、
山のようなピクルスと味のないパンと少しのチーズが出てきました。

そしてAi WeiWeiのドキュメンタリーを見ようと映画館に入ったら、
その映画館そのものが、深紅のカーテンや椅子に、シャンデリアといった
まさに映画に出てくるような佇まい。





疲れ果てて、映画の内容はほとんど記憶になく、
ホテルに戻ってぐっすり眠りました。

翌日はひとりで美術館めぐり。
早起きして、小雨の降る中Cafe Anna Brumeのテラスで朝食。
フルーツたっぷりのミューズリとココア(生クリームのせ)。
至福のひとときでした。




その後気になる美術館を片っ端からまわったのですが、
写真の量が多いので「ベルリンの美術館」という内容で投稿を改めます。

ランチもお洒落なカフェBilderBuchで。
スパゲッティと鶏肉のソテー、トマトソース。
大盛りだったけどたいらげました。



高層ビルが立ち並ぶ中心街にピンク色の配管が。遊び心があります。




アメリカの建築家、ピーター・アイゼンマンが設計した
ホロコースト慰霊追悼碑。




ベルリンのシンボル、ブランデンブルグ門。 




この日の夜は、友人と、その友人たちとワイン片手に夕ご飯。
しかし、私は疲れが出たのか、久々に日本人のみなさんに囲まれてほっとしたのか、
途中から睡魔に襲われて朦朧としてしまいました...




というわけで、ベルリン留学歴のある友人のおかげで、
とても密度の濃い体験・出会いに恵まれた2日間でした。