7/22/2012

三千院 阿弥陀堂


私は実家の香川県に帰省すると必ず高校時代の恩師、英語塾の先生を訪ね、
近況や美術やお寺の話をするのが習慣になっています。

ド田舎ののんびりした高校生で、そこそこのやりがいと刺激がある生徒会に入り浸り、
高校2年の夏が過ぎるまでは受験のことなど深く考えていなかった私に
英語というひとつの科目を通して、学業のあり方を教えてくれたのは先生でした。

学校が終わると途中のコンビニでおにぎりやサラダを買って塾の自習室に直行し、
赤本や参考書に囲まれた机で塾の仲間たちと身を寄せ合うように勉強。
つらいとか苦しいとか思った記憶もなく、
何の疑いも持たずに、目の前のことにあれほど無心に集中できたのは
むしろ幸福なことでした。

そんな環境を作ってくれていた先生の趣味は弓道とお寺めぐり。

とりわけ奈良や京都のお寺というのは、私には未知の世界だったのですが、
毎回熱心にどのお寺の、どんなところに感動したかを話してくださる先生の声や、
以前少しだけお手伝いした白洲正子展で仏像を身近に感じたこともあり、
京都滞在に合わせて、先生おすすめのお寺を訪れてみました。

妹の運転で、まず向かったのが大原の三千院。


駐車場には看板娘のハナちゃん。可愛くておとなしい柴犬でした。


門構えがとても立派です。 
 


お庭は、どちらを見ても息をのむ美しさ。
7月後半の夏本番、樹々や苔の緑色がとても生き生きとしていました。



ししおどしから滴る水。眼にも耳にもすずやかです。




三日月のかたちが彫り抜かれた灯籠。
暗闇で光が灯ったらとても綺麗でしょうね...。




阿弥陀如来座像が安置された往生極楽院。
ふくよかで堂々とした金色の阿弥陀像。
両脇に侍す観世音菩薩と大勢至菩薩が膝を折って座る姿は、
まさに今立ち上がろうとしているようにも見えます。




苔の絨毯のあいだを少し進むと、ひょっこり顔を出すわらべ地蔵たち。
かたちある石とそれを覆おうとする苔...
その絶妙なバランスが時の蓄積を取り込んだ趣になっています。





あじさいの季節は過ぎてしまったけれど、満開の名残が感じられました。



京都市内からは少し離れたところにありますが、
阿弥陀像、そして苔の美しい庭園は遠出をする価値が充分ありました。
また違う季節にも訪れてみたいです。

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