9/11/2012

ダニ・カラヴァン Axe Majeur [大都市軸]


良く晴れた日曜日、いつもの先輩たちとパリ近郊の Cergy St Christopheにある
ダニ・カラヴァン氏のプロジェクト《大都市軸》を訪れました。

「大都市軸」とは耳慣れない言葉ですが、
実はパリの歴史軸[axe historique]と深い関係があります。
歴史軸とは、ルーヴル美術館とチュイルリー公園の間にある
カルーゼル凱旋門から、シャンゼリゼ通りの凱旋門を経て、
さらにラ・デファンスの新凱旋門《Grande Arche》までを結ぶ軸。

歴史軸を東側にたどっていくと、ルーヴル美術館があり、
今ではすっかりシンボルとなった《Louvre Pyramide》が聳えています。
《Grande Arche》と《Louvre Pyramide》は共に
時の大統領ミッテランが推進した「グラン・パリ」プロジェクトの
一環として建設されました。

そして、歴史軸の西側の延長線上にあるこの郊外の一大プロジェクトを
ダニ・カラヴァンに依頼したのは、他ならぬミッテラン大統領でした。

つまり、郊外までも視野にいれてパリという近代都市を模索した
ミッテラン大統領の「グラン・パリ」構想の鍵となるのが、
「大都市軸」という概念でありカラヴァンの作品であったともいえるでしょう。

《Grande Arche》はすでにガイドブックなどにも掲載されていて有名ですが、
《大都市軸》まだまだ浸透してないですよね。

郊外といっても、Cergy St ChristopheはRERのA線で
パリ中心部から30分ほどの道程。
新宿から府中に行くくらいの感覚です。

駅を一歩出るとそこは完全に郊外の雰囲気。
建物の向こうに見える白い塔を目印に、広い通りをまっすぐ南へ進むと、
すぐに入口の広場に出ることができます。

迎えてくれるのはLa Tour Belvédère[ベルヴェデーレの塔]。
高さ36m、幅3.6mの塔は大都市軸の方向に3度傾いているそうです。
そして公式HPによると、内部には12の螺旋を描く階段があり、
頂上に登るとイル・ド・フランスの大パノラマを見渡せるとのこと。
しかし塔の入口らしき扉は閉まっており、勝手に登っていいのかは謎です...。



お昼は、かつてパリ郊外の地で制作に励んだ印象派の画家たちへの
オマージュとして作られた果樹園の木陰でピクニック。
お洒落なピクニックセットと、バゲットやシードル、ハムやチーズを
持ち寄って、素敵なひとときとなりました。


お腹も満たされたところで、さらに奥へと進みます。
ちなみにこの敷石は、《ルーヴル・ピラミッド》建設の際に剥がされた
ルーヴル宮殿の石を再利用したものだそう。



そして神殿のような雰囲気を漂わせる12本の柱は、
何か神秘的な意味が込められているのかと思いきや、
Cergy-Pontoise都市圏とこの地に会社を構える企業との提携関係を象徴しているのだとか。
大きさは、カルーゼル広場の凱旋門と同じだそうです。



ここからの景色はご覧の通り。遠方にかすむラ・デファンスのビル群や
パリの街並みは靄のかかった海のようにも見えました。




そして12の柱から続く石段を下りていくと、
平和のシンボルであるオリーブの樹が植えられた庭が広がります。
この庭は「人間の権利の庭[Jardin des Droits de l'Homme]」と名付けられています。



一見すると鳥居のようにも見える赤い歩道橋。
中央に隙間が空いていますが、振り返ると延長線上にBelvédèreの塔が見えます。
大都市軸の名にふさわしく、敷地全体を通して、
パリの歴史軸から伸びる一本の線を感じることができます。



そして歩道橋を渡り、芝生の斜面を下りると大きな池が広がっています。
泳ぐのは禁止だけど水浴びならOKということで、
水着姿で日光浴を楽しむ人がたくさんいました。
先輩たちも次々に水の中へ...私はタイツだったので断念。

池の上にはピラミッドが浮かんでいましたが、ボートがないと辿り着けません。



この日は本当に日差しが強く、水面がキラキラと光を反射していました。
ボートに乗れたらどんなに気持ちよかったことか...。





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