10/06/2012

Nuit Blanche 2012


毎年10月最初の土曜日の夜から日曜日の朝にかけて開催されるNuit Blanche。
今年は小雨が降っていて肌寒い気候のためか、
昨年ほどの混雑はみられませんでした。


パリを舞台に夜通し繰り広げられる現代アートの祭典。
Palais de Tokyoからシャンゼリゼ通りにかけての西エリア、
Pompidouセンターとマレ地区に広がる中心エリア、
そして植物園からFrançois-Mitterrand国立図書館を覆う東エリア、
大きく分けるとこの3つの地区で
100以上の展示やパフォーマンスが催されました。

ひとりで繰り出すので、
あまり遠くまで行って帰って来られなくなったら困ると思い、
私は東エリアの一部と中心エリアを回ることに。

アラブ世界研究所からスタートです。
今年のNuit Blancheの特徴のひとつが、パリ市内の様々な塔や展望台を公開して
セーヌ河を眺められるという試みのようで、
ひとまずセーヌに面するジャン・ヌーヴェル建築に登ってみました。

雨のせいか、暗闇のせいか、ぼやけてしまった夜景。


展望台で出会ったマダムが、あそこにみえるのがパリを造った
Sainte Genevièveよと教えてくれたので、
下界に降りてからPont de Sullyに立つその像を見に行ってみました。


さらに西へ進み、Pont Marie橋を渡ってサン・ルイ島に入ると、
ポーランド図書館にて建物の窓を舞台にダンス・パフォーマンス。
夜の闇に浮かび上がる身体とそれを見つめる道行く人々、素敵な光景でした。



お腹がすいたなと思っているところにちょうど発見したのが
パン職人協会での小さなパンの配給。
焼きたての温かいパンが冷たくなった手に嬉しかったです。


サン・ルイ島の教会では、バッハのオルガンコンサート。
22時のオープンと同時に奥行きある内部は瞬く間に人で埋め尽くされました。



右岸に渡って、Cité Internationale des Artsへ、
パリのアーティスト・イン・レジデンスのひとつで、
定期的に現代アートの展覧会も行われています。

まず、Claude LévêqueのSpace Oddity[奇妙な空間]。
タイトルの通り、重ねられた学校の机に包丁がぶら下がり、
音と光で演出された曰く言い難いインスタレーション。

もうひとつの作品は、Oliver Beer & Noé SoulierのFranchir le seuil[敷居をまたぐ]。
建物の地下に降りると、ピンク色の光がにじむ空間全体に声が満ちています。
どうやら、壁に向かって立つ数人の人々の声が反響しているよう。

奥のホールに進むと、舞台上のピアノに設置されたピンクのネオンが
声に呼応するように発光していました。

雨で石畳が濡れているせいで、パリの街全体も光に包まれています。

マレ地区のギャラリーNikki Diana Marquardtでは、
アラブ文字のプロジェクションと音楽ライブ。



スウェーデン協会の展示はDaniel RybakkenのLayers。
2枚の巨大な石(てっきり紙か布だと思っていました...)を重ねて建物に立てかけ、
光を当てたインスタレーション。
とてもシンプルだけど、荘厳な空間が現出していました。


スイス文化センターではSilvia Bachli & Eric Hattanによる
お茶目な映像展示Snouhau et ses amis。
通りに面した書店の棚のあちこちににテレビ画面を置き、
斜面を橇で滑り降りる雪だるまと動物達の映像をひたすら流す作品。




Crédit Municipal [市立銀行]では、Cédric Verdure & Timothé Touryによる
Les Gardiens du trésor [宝の番人]。
空を飛ぶエルフの軍隊とグリフォンが暗闇のなかに次々と浮かび上がる
壮大な光のインスタレーションです。

白い針金でできたような網目状のフィギュアに下から光を当てるという演出。


色合いもグリーン、ピンク、ブルー、レッドと次々に移り変わり、
暗闇の中に本当にエルフが現れては消えてゆくようでした。



そして、単純な仕掛けながら驚くべき効果を実現していたのが、
Musée des Archives Nationales[国立古文書博物館]の
Antoine et NicolasによるBubble Your Life。

スピード感があって写真では捉えきれませんでしたが、
機械で大量に吹き出すシャボン玉に光を当てるというそれだけのインスタレーション。
でも、マレ地区の建造物を背景に宙に舞い上がる透明の泡は
なんだか凄い景色を作り上げていました。



帰り道、通りかかったパリの市庁舎は威厳ある佇まい。


今年の、特にマレ地区界隈は現代アートというよりスペクタクルな
傾向のインスタレーションが多かったように思います。
西エリアはクリスチャン・マークレーのThe Clockの上映やOrlanの展示なども
あったみたいなので、やっぱり足を伸ばせばよかったかなと反省。


Les Hallesの駅前で、Olivier LounissiのGauche, Droite....[左、右...](2007)

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