2/27/2013

イサム・ノグチ in New York


ニューヨーク最終日、
はじめてイサム・ノグチ美術館を訪れました。

マンハッタンの東、
ロングアイランド・シティにあり、
メトロとバスを乗り継いでかなり心細い道中でしたが
なんとか辿り着くことができました。

朝一番に行こうと思ったらまだ開館前、
雨が降っていて、寒かったです。


香川県の牟礼にある美術館は地元なので
妹の運転で楽に行けたんですが...。

 外観はグレーのどっしりとした佇まい。
 


小さいけどお庭もあります。
磨かれた石の表面に梢が映って綺麗でした。


やっぱりAKARIはいいなぁ。
 いつか腰を据えて住める部屋に落ち着くときがきたら、
照明はAKARIにしたいです。



研ぎすまされた凛々しさも
  空気をほどくやわらかさも
手仕事の蓄積。


  
2階は和の空間。
小さきものたちが並びます。

Slowly, slowlyというタイトルの作品。
私は身も心も常にのんびりしているので、
世の忙しい人に贈りたいです。 




ところで、NY滞在の初日は、Joyce Theaterで
Martha Graham Dance Companyの公演Night Journeyを見ました。
そう、舞台美術はイサム・ノグチ。
 

 安いチケットにしたらものすごい至近距離から見ることになったけど、
ダンサーたちの肉体の緊張感がびしびしと伝わってきます。

 何より、グレアムとノグチのコラボレーション作品を
生で見られる機会があるとは思っていなかったので
もうそれだけで満足でした。


夜は、この日の公演を教えてくれたNYに留学中の友人を含めて、
他にも同じタイミングでNYに集っていた
日本の大学の同じ研究室の先輩たち総勢5人!と、
日本現代美術を研究する韓国人の女の子と、
ベトナム料理を囲みました。



2/17/2013

ボナールのリトグラフ


先日訪れたパリの古書店で、
念願叶って
ボナールのリトグラフの本を入手しました。


美術評論家Claude Roger-Marxのテキストが添えられた版画集は、
ボナールの死後、かのMourlot兄弟によって刷られたもの。

奥付けには、画家が用いた技法、石版の数、インクの種類など
忠実に再現したとの言葉。

フランス国立図書館の版画閲覧室でひとめ見て以来、
刷りの美しさに感嘆し、
いつか自分の手元に置けたら...と夢見ていました。


でも、オリジナルでないとはいえ、
画家たちの信頼厚い刷師が手がけた版画集。

古本サイトで検索してみても400€〜1000€の値段が付いていて
とても手が届きそうにないなぁとあきらめていました。

それが、ある日ふと思い立って同サイトで検索していると、
何とパリ16区の古本屋で、50€で売られているではありませんか...!!
でも、他店と比べてあまりにも値段が違い過ぎるし、
半信半疑で行くだけ行ってみることに。

辿り着いたのは、立派な門構えの古書店。
扉を開けて中に入ると、ガラスケース付きの本棚に収められた
貴重書がずらり。
どちらかというと、良質の古書を高めの値段で揃えていそうなお店です。

ともあれ、奥から出てきたお姉さんに
この本を探しに来ましたとおずおずと文献カードを見せると、
突然の珍客に驚きつつも
パソコンでぱぱっと検索してさっと本を出してくれました。

ケースに収められた版画集は、
表紙も中身もしみや折れひとつない完璧な状態。
思わず、この本の素晴らしさをお姉さんに切々と語ってしまいました。
しかし、本当に50€なの...?と不安に思いつつ、
表紙の裏に貼ってあった付箋を見ると
案の定、"450€"の数字が。



ところが、
それに気付いてしょんぼりしてしまった私を見たお姉さんが、
「待って、その付箋は間違っていることもあるから」と
再度パソコンで確認するという予想外の行動に。

そうして、
「あら、数字が多かったわ、50€よ。これなら買えるでしょ。」とにっこり。
お姉さんは間髪入れずに付箋の"4"を消しゴムで消してしまいました。

でも、どう考えてもパソコンの"50€"が入力ミスなのに...と
どぎまぎしている私に口を挟む隙も与えず、
何で払う?と支払いを促し、
「あなたみたいな人が来たのは私にとってもcoup de foudreよ」
と笑いながら、あっさり版画集を売ってくれました。


古書店にいたのは、ほんの10分程度。
何だかわけが分からないまま
たったの50€とひきかえに夢の版画集を手にし、
しっかりと胸に抱きかかえて来た道を戻りながら、
ぼんやりとした私は、ようやく
お姉さんの優しさをじわじわと理解しました。







何度見ても美しい色合い...
一生大事にしたいと思います。

真夜中のお菓子作り



私は日本にいるときから、
真夜中にお菓子を作るのが密やかな趣味です。

しかし、いま住んでいる寮のキッチンは
午前2時には閉まってしまうので、
少し早めの時間に焼きました。

最初の夜は、きなこクッキーのチョコレートがけ。



焼き上がったクッキーを持って部屋にもどり、
湯煎で溶かしたチョコレートにもくもくと浸して、
最後は天然の冷蔵庫(窓の外の縁!)で冷やし固めました。

きなことチョコレートというのは相性抜群です。
ぜひみなさんも試してみてください。


2日目の夜は、抹茶のマドレーヌ。



餞別にいただいた抹茶を贅沢に使いました。

ちなみに抹茶はホワイトチョコレートと合うので、
今度は別のお菓子も作ってみたいです。


レシピは同じだけど、
農業&酪農大国フランスの小麦粉やバター、卵のおかげで
2割増くらいでおいしくなったのではと思います。





2/16/2013

ルオーとともに


またまた更新が滞ってしまいました。
最近も展覧会、演劇、コンサートなどなど足繁く通いつつも、
(特に今月〜来月はダンス月間になりそうです!報告はまた改めて。)
博論・ボナール関係の資料収集のスピードも上げて頑張っています。

でも基本はまったりとお料理をしたり、お茶をしながらおしゃべりしたり、
夜のキッチンでバレンタインのお菓子を焼いたり、
ほんわかと充実した毎日を過ごしています。


そんななか、
ここ最近無心に取り組んでいたルオーの版画集のテキストの
トランスクリプション(書き写し)が無事完了しました。

最初はじめたときは、
慣れないフランス語の高速キーボード打ちにどうなることかと思ったけど、
フランス国立図書館の貴重書閲覧室にしかない資料で、
閲覧にこぎつけるまでも各方面の許可証を要求され、
日本にいるときにはもちろんアクセスできず地団駄踏んでいたものなので、
執念と根性を発揮してしまいました。

初めて資料を手にしたとき、
受付にいたちょっといじわるそうなマダムが、
「写真はだめよ、昔の人はそのくらい手で写していたわよ」
と言い放った言葉が、かえって私の心に火をつけてくれたかもしれません。


現代の写本家になったつもりで、
もくもくとパソコンに打ち込み続けました。


午前中の3〜4時間は上階の貴重書閲覧室で写本、
午後は下階の普通の閲覧室で自分の調査という生活を2ヶ月ほど続け、
気がついたら最後の225頁目に達していました。

ルオー財団で見せていただいた貴重な書簡と合わせて、
もう少し体裁を整えて元職場にきっちり収めたいと思います。

ルオーがかつて暮らしていたアパルトマンはリヨン駅の近く。
アトリエの窓からも美しい駅の塔が見えました。




ルオー財団にも4、5回通って書簡の調査。
がちがちに緊張していた最初の調査の日に、
とても素敵なカップ&ソーサーでコーヒーを入れてくださってほっこりしました。



風合いある木のテーブルも、椅子も、
美しいレリーフがほどされたチェストもすべてルオーが使っていたもの。

壁にはルオーの小品や想い出の写真たち。

この上なく幸せな調査の日々でした。

調査結果をどうかたちにするかも考えつつ、
ひとまず目前に締切が迫った論文に集中したいと思います。

2/06/2013

泳ぐ柴犬


季節がちぐはぐですが、
実家からもほど近い愛媛県にある霧の森の清流ではしゃぐポチの姿を
アップしたいと思います。

最近地方の道の駅はなかなか頑張っていて、
地元の名産を安く販売したり、
温泉施設なども併設して地元のお客さんでにぎわっています。

霧の森は、なかでも一押し。
なんといってもお茶のスイーツが充実しています。
満天の星が見えるというコテージにも泊まってみたいな。

妹に送ってもらった写真はたぶん夏の終わり頃と思われます。

岩の上にちょこんと座って満面の笑み。瞳が輝いています。

美しい清流の緑に心惹かれたのか、おそるおそる水の方へ....。

泳ぐのは久々のはずなので、ちょっとためらいがち...

少しだけ足を踏み入れてみました。


一度入ってしまえば、すいすい犬かき。

飼い主よりも上手です!!
というか飼い主は泳げない......。



水は透き通っていてとても綺麗です。



すっかり水の触り心地が気に入ってしまったご様子。
今年の夏は一緒に行こうね。

2/03/2013

空の光と色


最近日本も暖かくなってきたというお便りを
何人かの方からいただきましたが、持続しているでしょうか。

パリは、春のような気温だと浮かれていたのも束の間、
極寒の日々にあっけなく戻ってしまいました。
前より寒くなったような気さえします。

しかも先日は、しとしとと降る雨とともに
どんよりと曇り空で夜が明けたかと思えば、
お昼頃には太陽の光が燦々と降り注ぐ晴天(でも風は冷たい)、
さらに図書館で一勉強終えて外に出るとみぞれが降っているという
ユニーク過ぎる気候。

でもその翌日の朝、目が覚めてみると、
部屋の白いカーテンがうっすらピンク色に染まっていて、
朝なのに...もしや夕方まで寝てしまったのか...と思いながらぱっと開けると、
いままで見たことがないような美しい朝焼けが広がっていました。



私の部屋からは頑張って身を乗り出してもこのくらいしか見えないので、
カメラを持って踊り場の窓へ。

黄金色からピンク、青へとつながるグラデーション。


ほんとうに綺麗で、しばらく眺めていました。




空の表情は毎日違っていて、
綺麗だなと思う日があっても、しばらくすると忘れてしまうけれど、 
そういえば香川に帰省したときに見たあの夕日は格別だったなと思い出し、
写真を発掘してきました。


あの日は地元の友達と展覧会を見たあと、
夕日の絶景スポットがあるから見に行こうと誘われ、
女2人で丘の上へ...(笑)

ちなみに訪れたのは恋人たちの鍵がフェンスを埋め尽くす、
完全なるカップルのためのスポットです。

瀬戸内海の夕日は高校生まで毎日のように自分の部屋から見ていたので、
ちょっと俯瞰で見えるくらいかな、
それよりもお腹すいたな...などと思いながらのんびり行ってみたら、
この日の雲と光が織りなす景色は想像を絶していました。



暮れはじめる太陽の光が、雲の隙間から瀬戸内海の穏やかな海面に降り注ぎ、
神々しいまでの風景。
島々のグラデーションと海に浮かぶ小さな船もいいかんじです。



やがて光は黄色からオレンジへと変容してゆき... 



眼が溶けそうなくらい強い光を私たちの網膜に残して、
太陽は沈んでゆきました。



ロマンチストとはほど遠い彼女だけど、
ほぼ同じタイミングで上京して、
東京ではよく展覧会やダンス、演劇に一緒に足を運び、
私はパリへ、彼女は地元に戻り、
これからの人生のことなどしみじみと語らいました。