3/11/2013

ウィーン&グラーツ放浪記


3月の6日と7日、
スペインの画家Miquel Barcelóの展覧会を見ることを第一の目的に
オーストリアを訪れました。

パリからウィーンまでは約2時間の空の旅。
うとうとしているとあっという間ですが、
滞在時間は1日半。

ウィーンの空港に着き、まず足早に向かったのは
Bank Austria Kunstforum。

Miquel Barcelóは日本ではまだそれほど知られていませんが、
1957年にマヨルカ島に生まれ、
現在はパリとマヨルカを拠点に活躍する画家。

80年代にはすでに国際的な評価を得て、
絵画、彫刻、陶器作品だけではなく
バルセロナの劇場やマヨルカ島の大聖堂の礼拝堂の装飾、
ジュネーヴ国連本部の天井レリーフ(費用総額約24億6000万円!)
などを手がけています。


しかし、パリにいてもなかなか作品を目にする機会もなく、
ウィーンでの回顧展ということで満を持して訪れました。

最も圧倒されたのは油絵具の盛り上がり。
静物や動物、闘牛や親しい人物のポートレイトといった
古典的な主題が多かったですが、
それをモチーフとして描いているというよりも、
それらが絵画としてカンヴァスの内に存在しているような
生々しさがありました。

図版では分からないこの存在感、
実際に作品の前に立つことができてよかったです。

この日、空は晴れ渡りぽかぽか陽気だったので
少しだけ市街地を散策。
大聖堂の白と黒のコントラスト(洗浄済とそうでない部分)
が青い背景に際立っていました。

仲睦まじい馬車の馬たち。

もうすぐイースターということで、街のお菓子屋さんには
可愛いうさぎと卵のかたちをしたチョコレートがずらり。

その後ホテルにチェックイン。
一人きりのドタバタ旅行なので安宿を予約したんですが、
到着してみてびっくり、歴史の香り漂う素敵な内装のホテル。


お部屋もこの通り。レトロで可愛らしい家具に清潔感ある室内。


そして、バスルームの扉を開けると夢にまでみた浴槽が....!!
夜にはまったりと半身浴をしてほっこりしました。


Hotel Apartment Rothensteiner おすすめです。


続いてはMuseumQuartierという複数の美術館が集まる広場へ。
ここはオープンカフェのある広場を中心に、
レオポルド美術館や建築ミュージアム、
Kunsthalle Wienやmumokといった10もの施設があります。




Kunsthalle Wienは閉館中のため、 
今回の滞在ではmumokを訪れることに。
企画展はオーストリアの現代アーティストFranz West、
前回の愛知トリエンナーレに出品されていたParrhesiaという作品を
記憶していて、同じ作家だと気がつきました。


まとまった点数を見て、
物としてこの世に存在する芸術作品とは何か、
あるいは芸術作品を鑑賞する行為とは何かということが
彼の一貫した関心だったのかなとおぼろげながら感じました。


このヴィデオ・インスタレーションでは
アーティスト自身が色々語っていましたが言葉が分からず...




そしてコレクションを使って開催されていたのは
ミニマル・アート、コンセプチュアル・アート、ランド・アートの展覧会
Poetry of Reduction。
60's〜70'sのアメリカ&ヨーロッパを中心にした
現代美術のオンパレードです。

Sol LeWitt, Michael Snow, Michelangelo Pistoletto,
Dan Flavin, Carl André, 

Joseph Kosuth,  

Frank Stella, Robert Mangold,

Bruce Nauman,

Robert Smithson, Richard Long,

Gordon Matta-Clarkなどなど。
王道を行く展覧会でした。



コレクションの豊富さもさることながら、
展示方法や解説パネルも整然としていて、
私のような入門者にもとても分かりやすい構成でした。

コレクションの近代美術部門にも、ココシュカやエゴン・シーレ、
ピカソ、クレー、フォートリエなどなど。

ヨハネス・イッテンが良かったです。


続いてはALBERTINA美術館へ。


モネからピカソまでというタイトルでコレクションを紹介していましたが、
エミール・ノルデやエゴン・シーレ、クレーの作品点数の方が遥かに充実。

ココシュカの静物画、気に入りました。

眼の覚めるようなシャガールの青。

ちなみに企画展ではマックス・エルンストを開催中で、
凄まじい点数の作品が世界中から集められていました。
シュルレアリスム専門の方は
ポンピドゥーのダリ展と合わせてみると良いと思います。 

最後にウィーンの美術史ではなく自然史博物館の方へ。
(美術史は7年前に行ったので今回はパス)
まったく同じ建物が向かい合わせて建っているというのは不思議なものです。

ここでの目的は鉱物コーナー。
すごいコレクションだという話を聞き、どうしても行きたくなってしまいました。

見渡す限り石、石、石....

陳列台やケースも趣きがあります。


 薄暗い展示室でひとつひとつの鉱物に眼を凝らしていると
おのずと愛着がわいてきました。

まるで苔のような緑色の鉱物。

透明な石のなかに見つけた虹色。

私の一番のお気に入りはこちら。
こんな色が一体どうやったらできるのか...


4つのミュージアムを見終わった後はMuseumQuartierのカフェでディナー。
ウィーン風カツレツとグリーンサラダ、
そしてめずらしくビール。
きっと昼間の美術館巡りで消費したカロリーに匹敵すると思います...。

壮麗な夜の市庁舎。

2日目は往復5時間、滞在時間3時間という強行スケジュールで
グラーツへ。

Peter CookとColin Fournierによる建築の写真を
かれこれ7、8年ほど前に雑誌STUDIOVOICEで偶然目にし
なんじゃこりゃとたまげて以来、
いつか行ってみたいなと思っていました。


世界遺産の美しい街並みのなかに突如として現れる黒い有機的な物体。
建築そのものもさることながら、影もあやしい。


あろうことか周りの建物ぎりぎりまで接近しています...
夜、光る姿も見てみたかったな。

実際に行ってみて、どんな場所にどれほどの存在感で
建っているのかがよく分かりました。 

Kunsthaus Grazの中も近未来的な空間。

暗い部屋のなかでメディア・アートの展示、
長い段差のないエスカレーターで上の階に登ります。

最上階の天井は、ユニークなぐるぐる渦巻きの照明。

Needleという展望ルームに出ると、
川を挟んで対岸にひろがる
グラーツ歴史地区の街並みを一望することができます。

 建物の脇からちょこんとはみだしているのがまた何とも。。。

 グラーツの古い建築物もとても可愛らしかったです。


1 件のコメント:

  1. とても魅力的な記事でした。
    また遊びに来ます!!

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