5/31/2013

春眠暁を覚えず


明日から6月ですが、
4月頃の暖かさは春だったのかどうかも、もう分からないくらい
 いまパリは寒いです。

天気予報を見ると10度〜20度なんて出ているけれど
絶対そんなにないと思う。

パリジャンたちの士気を下げないために
情報操作が行われているのではないかと勘ぐってしまいます。

そして週末また午前中の気温が下がるもよう。 

雨も多いし、
なんだかとっても眠い今日このごろ。 

ポチの豪快なあくびは飼い主に似たに違いありません。



5/14/2013

Halle Saint Pierreとモンマルトルの丘

モンマルトルの丘のふもとに建つHalle Saint Pierreは、
Art brut や Art Singulierの作品を専門に展示する施設。

あまり関係ないですけど、最近おじいさんにいただいた
コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』を読んでいて、
かなり面白いです。
26歳で書いたというのがすごい。

 現在開催中の展覧会Hey! Modern Art & Pop Cultureは
これまたハードな展覧会。
グロテスクの極みというか....
 ふら〜っと歩いてちらっと見て外に出ました。

現代美術と向き合おうとして
グロが苦手というのはなかなか致命的なのかも。
いつも途中で心が折れてしまって。 

注射一本で失神するような貧弱体質を治したいものです。


気を取り直して、晴天のモンマルトルへ!
本当はまっすぐ帰ろうと思っていたんですが、足が北に向いてしまいました。

少し丘を登っただけなのに空が近く感じます。

 サクレ・クール寺院前の階段では、
ノアの箱船の人形劇。

 寺院の裏手の広場には
今も絵描きさんたちが集まってパリの風景画を売ったり、
似顔絵を描いたりしています。


 この日は地図を忘れて、気の向くままに歩き回りました。


石畳の広場で出会ったのは、ヴァイオリンとギターのしっとりとした演奏。 

 人通りの少ない路地裏、
風にそよぐ木の葉に陽光が反射してきらきらと輝き、
古いヴァイオリンとクラッシック・ギターの音色がからまるように奏でる
少しせつないメロディー。

後ろの壁の場違いでセンスのない落書きさえなければ完璧だった!



お洒落なカフェテラスはおじさんたちがひとりじめ。


このレストラン、7年前から気になっていて、今度行ってみたいです。
 可愛らしい飾り、ずっと変わっていません。


さらに彷徨っていると、
ムーラン・ ド・ラ・ギャレットに出ました。
うすむらさき色の桐の花が咲いています。

風車を背に坂を下ると、
そこはボナールも描いたトロゼ通りです。
  
窓際に佇むあやしいおじさん....
 視線の先には、若者たちの陽気な演奏。
 モンマルトルの街角演奏はレベルが高く、
そしてちょっぴり哀愁が漂っています。


ムーラン・ルージュまで来ておとなしくメトロに乗りました。

5/09/2013

ブーダンの空


7月22日まで、パリのジャックマール=アンドレ美術館では
画家ウジェーヌ・ブーダンの展覧会を開催中。



オスマン大通りにあるこの瀟酒な美術館は、
フラアンジェリコといい、カナレット&グアルディといい、
いつも良いところを攻めてくれます。

小さな展示室が混みすぎるのが玉に瑕だけど、
 今回は、ホッパーさん、ランボーさんと会期早めの夜間開館に出かけたので
すし詰め状態は避けられました。


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ブーダンは1824年生まれ。
ピュヴィ・ド・シャヴァンヌや
アカデミスムの画家ジェロームと同い年です。

出身は北フランスの港町オンフルール、
11歳のときに家族でル・アーブルに移り住みました。

フランスの中でも空が最も表情に富んだ
ノルマンディの地で育ったことが、
のちにコローをして「空の王[roi des ciels]」と言わしめた
ブーダンの進むべき道を照らしたのかもしれません。

 22歳のときに画家になることを決意。

その後3年間の奨学金を得てパリに趣き、
オンフルールに戻ったブーダンは、
34歳のときに決定的な出会いをします。

 そう、相手は16歳年下のモネ。
 この出会いは二人にとっても、フランス近代美術にとっても
重要な出来事となります。

ル・アーブルで戯画を描いていた当時のモネに、
光に向かって眼を開かせたのはブーダンでした。

ブーダンとともに陽光の下で描くことを学んだモネは、
翌年パリに出てピサロやシスレー、ルノワールらと出会い、
1874年に第一回印象派展を開くことになります。

チューブ絵具の普及や、美術校での野外スケッチの勧めなど
19世紀半ばの美術界が
印象派誕生の礎を築いていたことはたしかですが、
ノルマンディーでの二人の出会いがなければ
何かが違ったものになっていたかもしれません。

「空の王」が世を去って20年以上も経ち、
視力も衰えた晩年のモネが、
「すべてはブーダンのおかげだ[Je dois tout à Boudin]」 
(1920年のギュスターヴ・ジェフロワへの手紙)
と綴るのを見るとき、
このたった5語に込められた二人の交流の計り知れなさに
 敬服する思いがしました。


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展覧会はいたってシンプルな構成。
奇を衒ったことを一切しないのも、
ジャックマール=アンドレ美術館の余裕を感じさせます。

オンフルールでの初期の作品にはじまり、
ドーヴィルやトゥルーヴィルの海岸に集まる上流社交人たち、
丹念な観察に基づいて描き出された空 、空、空、
 北フランスの人々の日常、
そして、ベージュやグレーの紙に現れるパステルの空、
最後に晩年、南フランスやヴェネツィアを旅行したときのシリーズ。

春夏秋冬、朝昼夜、晴曇雨嵐...
ひとつとして同じ空はなく、
しかもブーダンの空は、絵の前で見つめているうちに
雲が現れてくるような震えがあります。

美術史的にどうこうという評価は関係なく、
ブーダンの空がたまらなく好きです。










やっぱり帰国前にル・アーヴルには行かないと。

5/08/2013

バスティーユの休日



 祝日の木曜日はバスティーユへ。


 Maison Rougeで会期終了間際の展覧会Sous influence....
なかなかハードな内容。
ひとりで行かなくてよかった。

 明るい世界に戻り、河沿いで開かれていたアンティーク市をぶらぶら。

数百メートルにわたり露店が河の両岸を埋め尽くしています。

自分の知らない時間や空間をもっている物を
手元に置くって素敵ですよね。

   しかし、物が溢れかえっているので、
お気に入りを探すのも大変な労力。
 初心者なので、歩くだけで疲れ果ててしまいました。

いつか街角の古道具屋で、
ふわっといいものに出会えるといいんですけど。


見覚えのあるマシーン。
 ヴァン・ショーではなくミントティーを作っていました。


バスティーユ広場に出て、
喧噪から一歩足を踏み入れると、
こんな静かな緑の小径。
 この奥にあるGalerie Grand Mondeで
クートラスのカルトを見ました。

 1968年にはじめて、1985年に亡くなるまで、
毎日のように「僕の夜[Mes Nuits]」と名付けた
小さなカルトを作り続けたそうです。

出迎えてくれたマリコさんはとてもほがらかな女性で、
 2013年のパリに立ちつつも、
違う時代をその体に宿しているようでした。

 
まだ明るい午後7時の光を浴びながら
みんながお勧めするCafé de l'Industrieへ。
めずらしくお魚を頼んでみました。
Raie[エイ]
そう、シャルダンが描いている彼奴です。

デザートのミルクのムースもほんわかとした味。

キャラメルプリン色の猫ちゃんがいて、
猫エキスを補給できました♡

 帰り道、セーヌを渡ると美しい黄昏の風景。

マリヴォーさんとのバスティーユからの帰り道には
景色に魅せられることが多い気がします。





5/05/2013

夜想曲


昨夜、パリを去る料理人さんの送別パーティーがあり、
とってもおいしいシャンパーニュをいただきました。

Taittinger(テタンジェ)のNocturne[夜想曲]
紫色のラベルに金色の文字と装飾をあしらった麗しいボトル。
中身も外観にふさわしく華やかで繊細な味でした。

ソムリエさんのお話によると、
柑橘系の香りを漂わせるワインはめずらしくないけれど、
Taittingerのオレンジの芳香は他にはないとのこと。




お土産にもって帰りたいなぁ。

ソムリエさんの粋なはからいで、
片手にはシャンパングラス、
もう片手には苺とHugo & Victorのチョコレートケーキ、
至福の時間を過ごすことができました。


5/04/2013

癒しのおすそわけ



最上級のかわいさ


やっぱり柴犬がいちばん!


このコンクリートになりたい...


豪快な齧りっぷり♡


その辺のおじさんよりもダンディ